アーツスプレッド mit-on.com

一般社団法人アーツスプレッド 〜Life with music〜

船越さやかのParis通信 第8回「パリは〈移動祝祭日〉!」

パリ通信 第8回「パリは〈移動祝祭日〉!」

去る11月13日に起きたパリ同時多発テロのニュースは、世界中を震撼させました。
 非常に恥ずかしいことですが、私は長年フランスで生活していながら、今まではこのような事件が起きても、どこか自分と関係のないこととして過ごしてきました。今年1月に風刺新聞シャルリー・エブドがテロの標的になったときでさえ。
 「そこに居合わせたのは、自分や友人だったかもしれない」とひしひしと思ったのは、今回が生まれて初めてです。犠牲になって亡くなられた方のためにろうそくを……という行為も、今まではただの自己満足や偽善のように感じられていましたが、今回はどうしても行かずにはいられませんでした。



スパークリングワイン

バタクラン劇場というコンサート会場も標的になったことから、テロの直後スペクタクル関係は60パーセントほど客足が落ち込んだとニュースでは報じていましたが、クラシックの演奏会は変わらず元気です。私自身毎週のように演奏会に通っています。どの会場も満席、すばらしい音楽はテロに屈することなく、皆に必要とされ続けています。


スパークリングワイン

先日、恒例のシャンゼリゼ大通りのクリスマスイルミネーションを見に出かけました。写真ではわからないのですが、今年はシャンパンの泡を表現しているのでしょうか、きらきらと立ちのぼっていきます。ここ数年、しずくがしたたり落ちるような趣向が多く、それも素敵でしたが、この「光のシャンパン」は、何が起きても強く美しく、そしてご機嫌なパリの姿を象徴しているように感じられました。


スパークリングワイン
そういえば事件の後、若いヘミングウェイが20年代の自分のパリライフを生き生きと綴った「移動祝祭日(Paris est une fête)」がベストセラーになったとか。どんな時も、何が起きてもパリは本当に素敵な街です。
 皆様、今年も大変お世話になりました。よいクリスマスと新年をお迎えください!

Back 第7回「ムニエ氏のバッハ……そして香水」  Next 第9回「ルカ・ドゥバルグとレナ・シェレシェフスカヤ その師弟関係」

船越清佳 Sayaka Funakoshi ピアニスト、音楽ライター

Sayaka 2012c (2)

〜プロフィール〜 船越さやか

〜船越清佳の最新の掲載記事〜
●「ムジカノーヴァ」2016年1月号・2月号

〈世界を驚かせた指導者、レナ・シェレシェフスカヤ〉インタヴュー前編・後編

●「音楽の友」2015年12月号

スクランブルショット「ロンティボー国際コンクール ピアノ部門」レポート

●「音楽の友」2015年11月号

特集「フランス音楽の煌く世界」ミシェル・プラッソン インタヴュー
●「アッコルド」2015年9月
パリ管弦楽団コンサートマスター・パリ国立高等音楽院教授 ロラン・ドガレイユ インタヴュー
http://www.a-cordes.com/#!20151010sayakardaugareil/c1bss

●「音楽の友」2015年8月号

特集「激震!世界のオーケストラ・戦国時代」

〈ヤルヴィからハーディングの時代へ〉パリ管弦楽団